ことし六月、当時の羽田内閣のもとで新生党、公明党などと自民党、社会党の賛成で
健康保険法が改悪され、これによって、十月一日から当面一日六百円、二年後からは八百円の
入院給食費の患者負担が実施されることになりました。
入院給食は、糖尿病食、肝臓病食、難病の患者さんにとっても、それぞれの病状に合わせた食事というように、まさしく治療の一環です。宮城県
腎臓病患者連絡協議会の会長さんは次のように言っておられます。腎炎で透析をしている患者さんは、桃を二個一遍に食べただけで高
カリウム症になり、心不全になって死んでしまいます。治療食を保険点数から削除するということは、こうした患者さんに、食べたいものを食べて死んでくださいと言うのと同じことと言っても決して過言ではありません。
厚生省は、家でも病院でも食事はするとして、給食費を負担させる姿勢ですが、
入院給食について市長はどのようにお考えか、まずお伺いします。
入院給食費の
自己負担導入は、国民に新たな負担増をもたらすだけでなく、仙台市が乳幼児を持つ家庭や
重度心身障害者などの
経済的負担を軽減し、健康維持と福祉の増進を図るため、県の補助を受けて行っている
医療費助成制度、また市独自で行っている
老人医療費無料制度を根本から崩すものです。医療機関にかかる機会が比較的多いこうした人たちの
医療費負担は、
入院給食費の自己負担が導入されたことで、入院の場合、無料から一日六百円、月一万八千円、二年後からは一日八百円、月二万四千円にもなってしまいます。特に、高齢者は、決して十分とは言えない年金で生活している人が多く、経済的にも、憲法や
老人福祉法の理念にはほど遠い厳しい状態に置かれているのが現状です。
十月実施を前に、全国の
地方自治体は、それぞれの
無料化制度における対応を迫られています。こうした自治体の
無料化継続について、厚生省は、基本的には適切でないという課長名の文書を各自治体に送っているようですが、こうした姿勢はまさに地方自治と住民福祉を踏みにじるものと言わざるを得ません。このような国のやり方について市長はどうお考えか、お伺いします。
しかし、このような厚生省の姿勢にもかかわらず、
無料化制度を守れという声が広がっており、これにこたえて
入院給食費も助成する自治体が確実に広がっています。政令市でも、川崎、横浜、名古屋、千葉市が助成を決めるなど、厚生省の指示に関係なく、自主的な動きが相次いでいます。
こうした世論と運動を反映して、宮城県も九月議会に
無料化継続のための補正予算を提案することになりました。仙台市で現在
医療費助成を行っている乳幼児、
重度心身障害者、母子・父子家庭の対象者数は約四万二千三百人であり、年間約六千万円あれば、これらの人たちが
入院給食費の自己負担をしなくて済むのですから、これまで
医療費無料制度を継続してきた趣旨からしても、仙台市においても、これらの人たちを対象に
入院給食費助成を行うのは当然のことです。県の対応におくれることなく、これらの人たちを対象にした
入院給食費助成のための補正予算を直ちに組むべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。
さらに、「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健全で安らかな生活を保障される」とうたわれている
老人福祉法第二条の精神に基づき、現在市独自で
医療費助成を行っているものも含めて、高齢者に対する
入院給食費への助成も行うよう強く求めるものです。市長の英断を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
第二に、
特別養護老人ホームの建設、開設にかかわる問題です。
厚生省は、
特別養護老人ホーム建設費の新規事業について、今年度は補助金の二〇%を交付し、残りの八〇%は来年度に先送りしました。そして、施設の開所を一、二年おくらせることを指示しています。
特養ホームの
入所待機者解消は急務で、仙台市の待機者は、昨年度と比べると百数十名近く減ったとはいっても、依然として三百名近くいます。市は毎年二カ所ずつ
特養ホームの
建設費補助を行い、今年度も増築を含めて百床の増床の計画でしたが、国の
補助金先送りによって来年度開設ができなくなれば、待機者がますますふえていくことになるのは必至です。
高齢者保健福祉計画の前期目標に照らしても、建設を先送りし、待機者をこれ以上ふやすことは何としても避けるべきです。
政府に対し、
特養ホームの
建設費助成の繰り延べをやめ、予算の復活を強く求めるとともに、当面国の補助金が出ない場合でも、
特養ホーム建設は
計画どおり市単独ででも実施すべきと思いますが、いかがお考えか、お伺いします。
第三に、
公的保育制度を維持する問題です。
厚生省などは、保育への公的助成の放棄につながる制度改悪を盛った
エンゼルプラン、
子育て支援のための総合計画を、年末の予算編成までに具体化する考えです。
保育所措置制度については、政府の
保育問題検討会がことし一月に出した報告書でも、
措置制度を維持、拡充し、公費負担の充実を求める意見と、直接
入所導入論が併記されるに至っています。にもかかわらず、
エンゼルプランに厚生省の考える
措置制度見直し、民活推進を一方的に盛ったことは、重大で危険な問題です。この
エンゼルプランについて市長はどうお考えか、伺います。
ことし一月に、地方三団体は、
保育問題検討会に対して、保育所の
措置制度の改善、見直しについては、拙速な制度改革を避け、
児童福祉法の理念に基づいた公的責任の範囲を明確にし、これからの
少子化時代の要請に的確に対応できるようになるよう、さらに慎重な検討を進めるべきであるというコメントを提出しています。また、この間の運動で、仙台市を初めとして約三割の自治体が、
保育所措置制度の堅持・拡充を求める意見書を国に上げました。次代を担う子供たちの保育を市場原理にゆだね、父母や保母の負担を増大させるばかりでなく、
地方自治体の財政をも圧迫する
保育所措置制度の見直しをやめるよう、強く国に迫っていくべきと思いますが、いかがお考えでしょうか。
さて、
エンゼルプランの中では、利用しやすい保育所が強調されていますが、現在多くの父母の要望になっている保育時間の延長や夜間・病児保育、緊急一時預かりなどの多様な保育需要にこたえるためには、
措置制度の見直しによる対応ではなく、現在の
措置制度で最低基準や措置費を引き上げ、自治体の超過負担をなくすこと、さらに現在の
特別保育事業の補助金を利用しやすいように増額することが大切です。国に対してこうした制度の拡充を強く求めていくべきと思いますが、この点どうお考えか、伺います。
それとともに、仙台市における保育施策の充実も急務になっています。三歳未満児の枠が狭いために希望する保育所に入れない、六時まで迎えに行けないためにやむを得ず無認可の保育所に預けている等の実態が多くあります。こうした市民のさまざまな
保育ニーズをきちんと掌握することが、まず求められているのではないでしょうか。この点、どのようにお考えか、御所見を伺います。
市は、三歳以上児の
定員割れ等の理由で、
保育所整備五カ年計画を八八年でストップしていますが、保育所が不足している地域は依然としてあり、また三歳未満児の
受け入れ枠が若干広がってはいるものの、八月現在で三百数十名もの待機者がいるのが現状です。市の実施計画の中に、児童福祉にかかわる計画も位置づけるとのことですが、国の施策にかかわらず、市の実態に見合った整備計画を策定することが何よりも重要です。保育を民間企業の利潤追求の手段にしてしまうのではなく、自治体の責任で保育時間延長等の多様な
市民ニーズにこたえることができるような計画にしていく必要があると思いますが、いかがお考えでしょうか。
第四に、
生活保護に関して伺います。
近年にないことしの猛暑は、新たにクーラー問題を引き起こしました。これは、四年前の
クーラー普及率が保有を認める目安以下だという国の機械的な方針が、
生活保護世帯の人間らしく生活する権利さえも奪っていたことを示すものです。
命を守るためにクーラーをという世論と運動に押されて、厚生省はやっと高齢者や病弱者などのいる
生活保護世帯の
クーラー保有を認める方向を明らかにしましたが、クーラーの問題に限らず、厚生省や
福祉事務所の対応が余りにも事務的であり、実情への配慮を欠くために、受けられるべき保護が受けられなかったり、決定まで時間がかかり過ぎたりというケースも少なくありません。こうしたことについてどのようにお考えか、お伺いします。
具体的には、仙台市で、
身体障害者の
自動車保有について、日常生活の足としてなくてはならない車も処分の対象になるというので、申請をあきらめたケースや、進学のために積み立てておいた学資保険も認められないので、やむなく解約したケースなどがあります。
生活保護基準では
ぜいたく品と言われるものでも、ある人にとっては必需品である場合も当然あり、これを保護基準に機械的に当てはめることは、福祉行政の本来のあり方ではありません。
厚生省は、クーラーについての通達で、世帯個々の実情を配慮するとの方針を出していますが、市の保護行政も、個々の実情に応じた温かいものに切りかえていく必要があると思います。例えば、保護の必要があって
福祉事務所の窓口に相談に行っても、なかなか申請書を渡してもらえないことがありますが、実際にはその日の生活費にも困っている場合が多いわけですから、そうした人たちに対する具体的で緊急な援護が必要ではないかと思います。申請書を受理する前でも、当面の生活費を支給している
福祉事務所もあるということですが、決定までの期間をできるだけ短縮するとともに、より弾力的な運用を求めるものですが、いかがお考えでしょうか。
日本女子大の
一番ケ瀬康子教授は、
生活保護の基準があって、それを単純に当てはめるだけなら普通の事務の人でもできるが、福祉が必要な人にどんな施策が必要なのかを個人ごとに判断するのが本当の
ケースワークだろうと述べています。市の
福祉事務所に
生活保護の相談に行った人が、二度と行きたくないと言っていましたが、このように思わせる冷たい市政ではなく、気軽に相談できる窓口にすることこそ、本当に人に優しい政治と言えるのではないでしょうか。こうしたことについてどうお考えか、お伺いします。
第五に、社会保障の問題に関連して、
消費税率引き上げについて伺います。
税制改革の名のもとに、村山内閣の手で、いよいよ年内にも戦後最大の増税計画が推し進められようとしています。減税財源にとか、
高齢化社会を支えるためになどの
新旧連立与党のあれこれの
増税キャンペーンにもかかわらず、
消費税率引き上げ反対というのが多くの国民の変わらない強い意思です。
時事通信社が最近行った世論調査でも、
消費税率引き上げ反対派は六四%で、容認派三三・六%を大きく上回りました。七%なら十兆円の負担増という
消費税増税は、国民生活に大打撃を与えるものであり、国民の審判を抜きに強行することは許されません。今もなお反対派が多数というこの国民の声を聞き入れて、増税計画はきっぱり中止すべきです。
この問題について、以前市長は、租税負担を所得課税に大きく依存することは無理が生じる。間接税の逆進性等、解決すべき課題も少なくない。政府において十分に論議されるよう期待している旨述べておられましたが、改めて増税についての市長の見解を伺います。
消費税は、食料品を初めとした
生活必需品に広く課税され、所得の低い人ほど負担割合の重い最悪の不公平な税金です。
課税最低限以下の人は増税だけを押しつけられ、国民の大多数も、減税どころか、
差し引き実質増税となるのです。こんな
税制改革は、改革の名に値しないものです。この点、市長はどうお考えでしょうか。
減税財源は、
消費税増税ではなく、税制のゆがみを正すことを通じてつくり出すことができます。
日本共産党は、
各種引当金、準備金などの名目で税金を減免する大
企業優遇税制の是正や、株、土地の売却益への適正な課税、
ゼネコン汚職に見られるような
公共事業費の浪費をなくし、軍事費を削減するなどの措置によって、十兆円台の財源が生まれることを明らかにしています。市民の暮らしを守るために、
消費税増税反対を強く国に働きかけていくべきと思いますが、この点はいかがお考えでしょうか。
次の質問は、政府が進めようとしている
地方分権と行革、これに対する仙台市の対応についてです。自治省は、この六月に、いわゆる
地方分権の
受け皿づくりのための
地方自治体リストラ素案を明らかにし、市当局もこれを受けた形で新たな行革方針を策定中とのことですが、仙台市に起こっている具体的な問題にも触れながらお伺いします。
一つは、事務事業の見直しについてですが、三日
付河北新報によると、市の来年度予算は、経常経費について本年度予算よりさらに一律一〇%削減させるとのことです。ことしも一割カットの方針のもとに、福祉や教育など、市民生活にかかわる費用まで削減されました。これは節約というものではなく、
市民サービスの切り捨てです。もちろん、むだな経費を省く工夫は求められますが、事務費等を一律にカットするというやり方は納得できるものではありません。必要な部署には必要な経費を配分できるよう、この方針の再考を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
次に、規制緩和の問題についてですが、民間の事業意欲の活性化を図るという考え方から大幅な規制緩和が推進され、
各種環境保全措置等がなくなれば、市の環境に与える悪影響は避けられません。杜の都仙台の環境を守っていくためにも、
環境保全措置にかかわる規制緩和は避けるべきと思いますが、この点はいかがでしょうか。
また、定員管理の適正化については、市の事業内容がふえているのにこれを行おうとすれば、結局は事業の整理、統合や委託を行わざるを得なくなってしまい、
市民サービス低下を招くことは必至です。委託などではなく、正規職員を必要な部署にしっかり配置することこそ
市民サービスの向上につながると思いますが、この点、どのようにお考えでしょうか。
さらに、民間委託の推進についてですが、
社会福祉法人仙照苑の事件は、こうした民間依存の多用によって起こった問題だと言えるのではないでしょうか。市独自で設置、運営することによって避けられたであろう暴行事件を再現させないためにも、民間委託は最低限にとどめ、市が責任を持って設置、運営する方向に転換すべきと思いますが、どのようにお考えか、お伺いします。
このように
住民サービスを低下させ、
地方自治体本来の役割を無視するような見せかけだけの分権論にくみせず、地方自治の真の保障と拡充を求めていくことこそ、本当に住民の要求にこたえていく道ではないでしょうか。そのためには、全国三千三百の自治体を基本にして
都道府県制を守ること、公的責任を明確にした
住民サービスの確立と財源保障を求めていくことが重要と思いますが、市長の御所見を伺います。
以上、私は、福祉や医療、
住民サービスの切り捨て及び
消費税増税など、村山内閣が推進しようとしている諸政策と市への影響について取り上げました。これらの諸政策は、基本的には
自民党政権当時にレールが敷かれたもので、細川・
羽田連立政権のもとで具体的に準備され、村山政権が継続して仕上げようとしているものです。国民生活に直結するものとしては、これらのほかに、年金制度の改悪や
米輸入自由化の問題もあります。いずれにしても、国民各層にとっては冷たい政治と言わざるを得ません。
村山首相は、くしくも藤井市長と同じ、人に優しい政治を
政治スローガンに掲げましたが、先ほど来申し上げたのが、村山首相の言う、人に優しい政治の実態です。同じ
スローガンを掲げる市長として、村山内閣の政治路線に全面的に協力することが、御自身の政治信条に合致するとお考えなのか、それともそうではなく、今政府が進めようとしている悪政から市民の暮らしを守ることが必要と考えておられるのか、市長の率直な御感想をお伺いして、私の質問といたします。(拍手)
7: ◯市長(藤井黎)洞口議員の御質問にお答えを申し上げます。
御質問の第一は、
入院給食費の有料化問題に関連いたしまして、
入院給食についての市長の考え方についてでございます。入院時の食事療養の制度につきましては、国会におきまして慎重な討議を経て、入院時食事の質の向上を図るとともに、入院と在宅との負担の公平化を図る、こういう目的で創設をされたものでございますので、入院患者の皆さんに平均的な家計における食費の状況を勘案して定められた
標準負担額を御負担いただきますことは、法改正の趣旨から、やむを得ないものと考えておるところでございます。また、
無料化継続についての厚生省の考え方でございますけれども、ただいま申し上げました入院と在宅との負担の公平化を図るという観点からなされたものと理解をいたしているところでございます。
次は、
公的保育制度の維持についての御質問のうち、最初の
エンゼルプランについてでございます。少子化の進行や
共働き世帯の増加などによって社会環境が大きく変化している中で、現在厚生省が進めております
エンゼルプランにつきましては、まだ骨子の段階ではございますけれども、子育てを社会全体で支援をすること、そのための環境をつくること、そして子育てに伴う不安とか負担感を軽減していこう、こういうことを基本的な考え方とした
子育て支援のための総合計画、このようにとらえているところでございまして、今後、国においてさまざまな検討がされるであろう議論の推移を見ながら対応をいたしてまいりたいと考えております。
次は、消費税率の引き上げについてでございます。
税制改革については、本年六月に
政府税制調査会が答申いたしておるところでございますが、今後の本格的な
高齢化社会の到来を考えた場合、直接税の比率の高い現行の税体系を、所得と消費と、そして資産等のバランスのとれた税体系に改革していくことが必要であると考えておるところでございます。一方、税体系の再構築に当たりましては、
行財政改革の推進や間接税の逆進性の問題等、解決すべき課題も残っていることは御指摘のとおりでございます。政府並びに国会におきましては、これらについて十分御検討の上、適切な
税制改革を実現していくように期待をいたしているところでございます。
次に、行政改革についての御質問でございますが、現在、国、地方において検討が進められております
地方分権の問題に関連いたしまして、地方の行政改革の必要性が論議されていることは事実でございます。しかしながら、本市が行政改革に取り組む姿勢は、常に行政の運営の効率化、適正化を図り、もって
市民サービスの向上に資することが市政運営の基本であるとの考え方に立つものでございまして、
地方分権とは切り離してこれを推進するものでございます。こうした基本姿勢に立ちまして、本市を取り巻く厳しい
行財政状況を踏まえ、事務事業の見直し、規制緩和、定員管理の適正化、あるいは外郭団体の運営の適正化等について検討を進め、行政経費の節減を図り、また新たな行政需要に対応することによりまして、市民福祉の向上を目指すものでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
なお、新年度予算における経常経費の削減につきましては、本年度予算と同様、
市民サービスに影響を及ぼすような経費は対象外と考えておりますし、また市民の生活環境にかかわる規制につきましては、その重要性を十分認識して対応してまいる所存でございます。
また、
地方分権の推進については、都市が地域における行政を自主的、自律的に進める上で必要なことであると考えております。
最後は、村山政権とのかかわりで、市政に関する
基本的姿勢についての御質問でございます。国の施策が都市行政に少なからぬ影響を与えることは事実でございます。しかし、主体性を持ち、国とも連携を保ちながら、市民が生活の豊かさを実感できる都市をつくり上げることを私の市政の基本に据えて今後ともまいる所存でございますので、御理解をちょうだいしたいと思います。
その余の御質問に関しましては、担当の局長に御答弁をいたさせます。
以上でございます。
8:
◯民生局長(相澤幸平)民生に関します数点の御質問にお答えいたします。
まず、
入院給食費の助成についてのお尋ねでございますが、本市の乳幼児、
重度心身障害者及び母子・父子家庭に対する各医療費の助成は、県の補助事業により実施しておるところでございますが、
入院給食費の負担額につきまして、このたび県において助成対象とする
補正予算案が発表されましたので、
入院給食費の助成につきまして、十月一日の実施に向けて作業を進めてまいりたいと考えております。これに伴う予算の補正につきましては、予算執行の推移を見ながら対応してまいりたいと考えております。なお、六十八、六十九歳の方を対象といたしております本市の
老人医療費助成制度における
入院給食費の負担額の助成についてでございますが、
老人保健法が適用になる方と費用負担のバランスを考慮いたしますと、助成対象とすることはなじまないものと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
次に、
特別養護老人ホームの建設等についてでございますが、平成六年度の
特別養護老人ホームに対する
国庫補助内示につきましては、単
年度事業で行う二カ所につきまして、平成六年度から七年度の二カ年事業とする内示を受けたところでございます。本市といたしましては、待機者も増加しておりますことから、本年七月に厚生省に対し、二カ年事業でなく単
年度事業として
国庫補助採択を行うよう要望いたしたところでございます。さらに、十三大都市といたしましても、本年度内における補助金の追加措置及び平成七年度以降の予算の確保について、近々に厚生省に対し要望書を提出する予定でございます。
特別養護老人ホームの整備につきましては、国庫補助の認証を受けて整備いたす事業と考えておりますので、市単独での整備につきましては極めて困難でございます。なお、単
年度事業への認証が得られない場合には、厚生省及び
事業実施主体である
社会福祉法人と協議を進め、平成七年度の年央での開設に努力してまいりたいと考えております。
次に、
公的保育制度の維持について、市長から答弁いたしました以外の四点についてお答えいたします。
まず、保育所の
措置制度の見直しにつきましては、本年一月に
全国市長会を含む地方三団体より、また本年七月には指定都市として、
保育所措置制度の改善、見直しに当たっては慎重な検討を求める要望をいたしておるところでございます。本市といたしましても、国における
エンゼルプランの策定動向を見ながら、対応を考えてまいりたいと存じます。
次に、保育制度の拡充についてでございますが、国の
エンゼルプランにつきましては、今後の保育事業の基本となると思料されますので、慎重に検討され、保育制度の改善が図られるよう要望を行ってまいりたいと考えております。
次に、
保育ニーズの掌握と児童福祉に関する計画についてのお尋ねでございますが、
保育ニーズの掌握につきましては、三歳未満児の入所枠の拡大や保育時間延長に対する市民の要望もございますので、現在、児童を取り巻く環境等についての市民アンケート調査の中で行っているところでございます。保育事業につきましては、子育て環境づくり懇話会の提言を踏まえ、児童家庭福祉計画の策定に当たり、包括的に検討してまいりたいと考えておるところでございます。
最後に、
生活保護についてのお尋ねでございますが、
生活保護制度は、国民の最低生活を保障し、その自立助長を図るためのものでございます。したがいまして、適用に当たりましては、法の趣旨を尊重し、個々の事情等を十分把握した上で、基本に基づき、適正に行っているところでございます。幾つかの具体例を挙げての御質問でございますが、本市としては可能な限り個々の実情を勘案し、指導助言しているところでございます。決定までの期間につきましては、実態調査等により時間を要するものもございますが、迅速な処理に努めているところでございますし、今後もそのように努めてまいりたいと考えております。
福祉事務所の窓口対応についてでございますが、相談・申請者に対して、不安や不快感を与えないよう、言葉遣いや態度に十分注意し、懇切丁寧に対応しているところでございますが、今後とも言葉の行き違いや説明の不十分さにより相談者からの誤解を招くことのないよう指導を行い、温かみのある窓口を目指してまいる所存でございます。
以上でございます。
9: ◯二十三番(洞口邦子)初めに、市長にお伺いいたしますけれども、入院時の給食というのは、これまでも治療の一部として重視されてきたものですし、特に難病の患者さんにとっては非常に重要な問題だというふうに先ほども申し上げました。このことについて、普通の人の食事と同じように扱うことが当然というような御答弁と受けとめましたけれども、そのようにお考えになっているのか、改めて見解を伺いたいと思います。
それから、
入院給食費無料化については、乳幼児、重度身障者、ひとり親に対する
無料化継続を決定したということで、四万数千人の対象者にとっては、何よりも朗報かというふうに思います。
ところで、
医療費無料制度とはいいましても、申請書を書いて一度窓口で現金を支払って、後で償還払いという方法が現在とられているわけです。しかし、重度障害者にとっては書類を書くというのは大変な作業であって、中には書類を書くのが困難なので申請をしない人もいるというふうにお聞きしております。償還払いではなくて現物給付という方法をとれば、こうした書類を書く煩わしさも省けますし、また余分な現金を用意しなくても済むわけですから、ぜひ現物給付の方法に切りかえるよう求めたいと思います。東北では、宮城県だけが償還払いの方法をとっており、ほかはすべて現物給付ということですので、こうした方法に切りかえるお考えがおありかどうか、お伺いしたいと思います。
また、仙台市は、重度ではなくても心身に障害を持つ方々に対して、福祉タクシー利用料助成、あるいはふれあい乗車証交付事業、こういう事業を行っていますけれども、こうした趣旨からしても、重度障害者に限らず、障害者手帳を持つ方々に対しても
医療費無料制度を拡大するよう求めるものですけれども、いかがお考えでしょうか。
10: ◯市長(藤井黎)再度の御質問のうち、
入院給食費の有料化問題に関連して、給食についての御質問でございますけれども、法改正の趣旨から、私は一般的にやむを得ないと考えているわけでございますが、個々の症例によりまして、現在でも病院給食におきましては、メニューをそれぞれの症例に対応して工夫され、対応はしているものと理解しておりますので、御心配のような点は現実的にはないであろうというふうに考えているところでございます。
以上でございます。
11:
◯民生局長(相澤幸平)重度の方々が窓口で書くのに大変である、これを現物給付でやったらどうかという御質問でございますけれども、今後とも償還払いの方法で助成を行っていきたいと思います。窓口での重度の方々のそういったことの対応につきましては、十分に指導いたしまして、そういったことのないように、重度の方が、該当する方が進んで申請窓口にいらっしゃれるような窓口にしていきたいと思っております。
それから、重度障害者の
医療費助成は、その名のとおり、重度の障害者の方々を対象といたしておるところでございますので、その辺は御理解を賜りたいと思います。
以上でございます。
12: ◯議長(小池純夫)副議長と交代いたします。
〔議長 小池純夫退席、副議長 菅野昭二議長席に着く。〕
13: ◯副議長(菅野昭二)議長と交代いたします。
次に、鈴木繁雄君に発言を許します。
〔五番 鈴木繁雄登壇〕(拍手)
14: ◯五番(鈴木繁雄)質問に先立ちまして、市民クラブを代表し、故若生作造議員の御冥福を心よりお祈りをいたします。
歩道建設整備についてお伺いをいたします。
歩行者の安全確保のために歩道整備を進めることは大切なことであります。また、住民の強い要望事項にもなっております。幹線道路や商店街における歩道整備から、住宅地内生活道路等の歩道建設を進めておられる今日、自動車等乗り入れ用切り下げのため、非常に歩きにくい仙台名物、車に優しいでこぼこ歩道ができ上がってしまうようであります。その結果、特に高齢者や障害のある方には歩きにくく、所によっては危険とも思われるところもあり、せっかくつくった歩道が大変不評を買っているところが多いようであります。
例えば、鶴ケ谷四丁目に建設された歩道は、敷石約一万四千枚が使用されておりますが、そのうち約四千枚は、切り下げのために約一〇%勾配で傾いており、幅二百四十センチメートル確保した歩道中、水平直線幅は約百十センチメートル、実に切り下げ箇所は、交差点部分を入れ、約五十カ所にも及びます。また、花京院南光台線の歩道においては、歩道面積の三〇%から四〇%が約二〇%勾配で傾斜をし、歩道材質も相まって、降雪時には転倒者が続出しているようです。また、住宅地内につくられたもので幅百三十センチメートルのものでは、水平部分が全くないところが数カ所あり、何とも歩きにくい歩道ができ上がってしまい、車いすの方は車道を使用せざるを得ないようです。
このような構造になった原因は、歩行者にではなく自動車乗り入れに配慮した結果、でき上がってしまったものだと思います。歩行者安全確保のための構造をマウント構造としたことに大きな要因があり、マウント構造が歩行者の安全を確保するとの思いが、マウント構造により発生する多くの問題点を置き去りにしてしまったことによるものと思います。マウント化することにより発生する大きな問題点、またマウント化しなくても歩行者の安全を確保できる構造の研究、及び縁石、側溝、敷石等の改善により、歩きやすい、人に優しいフラットな歩道建設に向け、十分な技術研究を行うべきと思いますが、いかがでしょうか。
本年六月、高齢者、身障者等が円滑に利用できる特定建築物の建築促進に関する法律が公布されたこの機会に、最も不特定多数の者が利用する公共物である歩道、福祉の街づくり環境整備指針も示されている今日、今後どのように対処され、また研究されていかれるのか、お伺いいたします。
さて、藤井市政二年目を迎え、さまざまなところで藤井カラーのより一層鮮明さを求める声と、また市長もその旨の御発言をされておりますが、前市長時代の特徴の一つであります公共施設の建設及びその計画を、市長はどのように整理整とんしていかれるおつもりなのか、まずお伺いをいたします。
政令市の実現、そして飛躍的な都市の発展とともに、バブルに踊らされた上に、水膨れ経済環境の中で、当然のごとく次々と建設された大規模公共施設、その一つ一つは、東北の中核都市仙台の機能として、また百万市民にとっても、必要かつ有効な施設ではありますが、施設の立地、内容、管理運営面では、必ずしも市民が満足しているとは言えないものが多くあるやに聞いております。今後市民の声を十分に聞きながら、手直しや改善が行われることが必要であると思います。施設のより有効的活用のため、十分なる対応が求められるところですが、いかがでしょうか。
さて、公共施設を建設されるとき、その配置を決めることは最も重要な要件の一つであり、また後々手直し等ができないものであります。その決定によっては、将来に禍根を残すことにもなりかねない重要要件であります。単に担当当局だけで決めるものではなく、関係する部局と十分調整をされ、また全市的バランス、用地の取得の問題、そして特に都市施設にとって重要かつ他に与える影響が大きい交通アクセス等、さまざまなことを考慮されながら決定するためには、当然のことながら庁内にそれらを調整していく組織等もおありであると思いますが、どのようになっておられるのか、お伺いをいたします。
公共施設の適正なる配置こそ、まちづくり、そして市長の意向とまちづくりのコンセプトの具現化における最も大切な部分であると思われますので、具体的に、またその認識についてお伺いをいたします。
過去の事例を見ますと、例えば仙台市体育館における駐車場の問題や、大型施設への交通アクセスが十分うまくいかなかったりすることなど、配置バランス、近隣環境や景観、特に交通は、近隣の利用者のみでなく、さまざまな新たなる問題を発生することが多く、関係部局による調整組織が十分機能されることが求められるところでございますが、組織等の見直しをも含め、再点検する必要があると思われますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。
公共施設をおつくりになる場合、その内容等について担当局内で十分なる議論をされることは無論のこと、市全体的な公共施設の配置について関係部局が連携をとり合いながら決めていく必要があると思いますが、市長の御所見をお伺いいたします。
以上のような視点に立ち、二点ほどお伺いいたします。
まず第一に、七北田公園に計画されておりますJリーグを誘致するためのサッカー場についてであります。
Jリーグの誘致につきましては、官民一体となり、全市を挙げて強力に組織化や施設の拡充等を積極的に推進していくことについては、異を唱えるものではありませんが、問題は、七北田公園の当初のコンセプトとの整合とその利用形態、完成使用開始後の交通問題であります。今回計画されているサッカー場建設予定地区には、当初計画では市民が広く利用できるような運動施設を設置する計画であったと思いますが、それらの代替施設をどうするのかを含み、公園自体のコンセプトという点でどのようにお考えなのか、お伺いをいたします。
また、一番心配であり、副都心の機能麻痺をも引き起こしかねないのではないかと思われますのが交通問題でありますが、仙台における鉄道駅等からの徒歩可能距離は、首都圏では十五分ほどであるのに比べ、五分から十分が限度というデータから考えましても、かなりの人はマイカーを利用する可能性が高いという点であります。仮に、当該計画どおり二万人規模ということになりますと、半分としても、一万台近くのマイカーが殺到するということも考えておかなくてはならないと思います。
実際、どのぐらいの台数が殺到すると予想されるのか。現在、近隣大型店で確保されておられる駐車スペースは、ダイエーが二千台、イトーヨーカ堂が千五百台、さらに現在建設中の泉中央地区の立体駐車場が約八百台。あれほどの規模とスペースでも、五千台に満たないのであります。素人目にも、駐車場確保は物理的、スペースの面から見ても不可能なのではないか、心配されるところであります。具体案をお示しいただきながらお答えをいただきとうございます。
もう一点、近接する道路の交通状況についてお伺いをいたします。
元寺小路七北田線を初めとして、当該地区の都市計画道路は、ほぼ完成しております。現在の平日の交通量は約三万台とも聞いておりますが、御存じのとおり、既に道路は満杯の状態のようでありますし、ダイエー及びイトーヨーカ堂の来店客数が増加する週末や休日などは、都市機能を脅かすほどの渋滞を起こし、現に県警も頭を痛めていると聞いております。
道路整備がほぼ完了した地域での交通状況の現状からしても、二万人収容施設を設置された将来の交通処理上の問題点がないのかどうかという検討は、十分行わなければなりません。当然のことながら、十分検討されたと思いますが、仙台市は交通処理に関し、民間の大規模店舗や団地開発計画に対し、厳しい指導をしており、それが時には開発計画そのものの断念につながる重要要件の一つとも聞いております。
であるならば、みずからの施設計画において手本を示すような計画でなければならないと私は思います。将来において示しのつかないようなことになってはいけないわけであります。そのようなことも含め、将来交通処理上の問題がないのか、お伺いをいたします。処理計画とあわせ、お伺いをいたします。
また、地下鉄利用計画も当然のことながらお考えの中に入っておられると思いますが、その処理計画、特にゲーム終了時の処理計画等についてお伺いをいたします。
さて、音楽堂建設についてでありますが、特殊鋼跡地の地区計画の中に織り込まれた公共施設、いわゆる地区文化センターとしての用地使用計画が、いつの間にか、世界に誇るグレードの高い音楽堂の建設になったわけですが、同敷地内に同時に並行して計画されている商業施設等の内容が明らかになるにつれて、それらの建物や周囲との景観とマッチするかどうか。二十一世紀市民へのモニュメントとしての意味を持つものとして、外観的にも仙台のシンボルとなり得る独創性を持った建築物とするとうたわれているのに、果たしてこれでいいのだろうかという素朴な疑問がそこここに上がっております。
私も、せっかくの音楽堂を建設するならば、音楽堂のための音楽堂を引き立たせる立地とロケーションこそが第一歩であるべきだったのではないかと思います。再開発地区計画のために急遽概略図面を作成せざるを得ないようなことや、かなり限られた敷地内で、また進行している商業施設との調和から見ても、とてもベターな場所とは思えません。
巨額の市費を投入し、建設する二十一世紀市民へのモニュメントです。音楽堂、サッカー場、それぞれにイベントの時期との整合や、早く欲しいなど、目の前にある要望等もある程度考える必要はあるとは思いますが、百年の大計でお考えいただき、いろいろあるとしても、将来に禍根を残すことのないよう、場合によっては位置の変更をするという勇気ある決断をされることがあってもよいのではないでしょうか。藤井市政二年目、前市長が残された大型プロジェクトの真の洗い直しとは、実はそのようなことではないでしょうか。市長のお考えをお伺いをして、私の質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
15: ◯市長(藤井黎)鈴木繁雄議員の御質問のうち、公共施設に関する数点のお尋ねについてお答えを申し上げます。